ジュエリーブランド JUSTIN DAVIS が2025年に発表した最新コレクションのテーマは「LIVE FOREVER(生き続ける)」だ。本コレクションでは、デザイナー・山田耕太郎氏、副住職であり仏教の視点を交えて語る鈴木雄太氏、そしてブランドと長く関わる内山英雄氏が、それぞれの言葉で「永遠に生き続ける」という概念を掘り下げたインタビュー記事を収録したコレクションブックを来場者に配布。
鈴木氏は「生には二つの側面がある」と語る。有限の命としての“今を生きる自分”と、他者や自然とのつながりの中で循環していく“続いていく命”だ。仏教的な視点から「隔たりのない世界」を目指す考えは、今回のコレクションにも深く通じている。

一方、山田氏は「自分の思想や感情を作品に託すことで、作り手がいなくなっても何かが残っていく」と語る。ジュエリーを手にした人が幸せになるとか、特定の形で影響を与えたいわけではない。ただ、その人の人生の一瞬に関わることができる。その“存在の余白”こそが、ブランドが示す「生き続ける」という姿勢だという。
今回のコレクションには、咲き誇る花だけでなく、枯れた花や瓦礫から芽吹く花といったモチーフも採用された。美しさの定義を一面的にとらえず、多様な「生」のあり方を肯定するジュエリーは、見る者に新しい気づきを与える。

展示空間の演出を担ったのは、音響と内装を手掛けた 高橋穣氏 だ。高橋氏は「重力」をキーワードに、植物が自らの感覚器官であるアミロプラストを通して重力を知り、逆らうように枝を伸ばす姿をインスピレーションに据えた。人間の身体もまた重力に反応しながら存在しており、その見えない力と植物の自律が生み出す“振動”を重ね合わせることで、普段は意識できない力のバランスを可視化する試みだという。会場では、カセットテープを用いた音響装置が「時間」と「物質」の流れを示し、訪れた人々に身体的な没入感をもたらした。
「魂はモノにも宿る」と山田氏は言う。同じペンでも、持つ人の愛着や記憶によって唯一無二の存在に変わる。ジュエリーもまた、持ち主と共に時間を刻み、その人の物語に溶け込んでいくのだろう。鈴木氏も「亡くなった人がこの世界に溶け込むように、ジュエリーもまた人の記憶に広がっていく」と語った。
JUSTIN DAVIS の新作「LIVE FOREVER」は、単なる装飾品にとどまらず、空間演出や音楽と響き合いながら、“生き続ける”という概念そのものを多層的に体験させる展示会となっていた。





